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幻の馬幻の騎手 (文学のおくりもの 27)

1980刊行。3編の中篇を収録する原著から2編を収録。Old Mortality & Pale Horse, Pale Rider (1939)。
第一次大戦中のインフルエンザを描いた小説としては、おそらくもっとも有名なもの。終戦間際に主人公ミランダがインフルエンザに罹って見た幻覚が、切迫感を持って表現されている。コロラド州デンヴァーで著者が新聞記者をやっていたときの体験を元に書かれたものらしい。手が白い毒蜘蛛に見えるとか、希望もすべて遠ざかって残っているのは激しく燃える微粒子だけとか、クライマックス付近の文章力は圧倒的で、読んでいて息苦しくなる。中篇だが、なるほど深い余韻を残す作品だ。
ここで引用されている黒人霊歌を聴いてみたいんだが、どこかにないかな。

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世界を救った医師—SARSと闘い死んだカルロ・ウルバニの27日 (NHKスペシャルセレクション)

2004.7刊行。NHKスペシャルの書籍化で、執筆担当は虫明英樹。番組はソフト化されていないようだ。
刻々と状況が変化してゆく切迫した様子を非常にうまく文章化している。虫明はこういった文章がうまい。全体としてもよくまとまった好著で感情を揺さぶるが、一方ではもっと読み応えのある名著になり得たのではないかという思いもある。このあたり難しいところ。
ラストでWHOの進藤奈邦子と押谷仁のコメントがあり、ウルバニ医師の行為の両義性を読者に問いかけている。「第二のカルロは絶対に出してはいけない」という決意の後、今回の新型インフルエンザにおけるさまざまな結果を経て、いまどのような対策がよいと考えられているのか、知りたいところである。

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NHKスペシャル 最強ウイルス—新型インフルエンザの恐怖

2008.5刊行。2008.1.12,13放送のNHKスペシャル番組をもとに、大幅加筆して書籍化。
執筆担当者は虫明英樹、斎藤真貴、和泉田映。虫明氏はSARSの「カルロ・ウルバニ」本の執筆者でもある。
番組は第1夜がドラマ仕立て、第2夜がドキュメンタリー仕立てになっていて、いずれも社会に大きなインパクトを与えた。この放送を受けて、2008年度から厚生労働省には「新型インフルエンザ対策委員会」が設けられたとも記されている。その委員会で、押谷仁先生が「失望しました」と不満をぶちまけたことも、本書には記されている。

インドネシアでの医師たちの動きを追った第1章はなかなかの迫力。
ただ、一冊の本として見ると、やはり薄い感じがしてしまう。海外ではドキュメンタリー制作者が骨太な科学ノンフィクションをつくりあげるのと比較すると、どうしても見劣りしてしまうことも確か。いっそ書籍化はプロのノンフィクション作家にじっくり任せたほうがいいのではないかとも思う。
また、H5N1に焦点が当たっているため、切迫感はあるが結果的に現実を写し切れていない構成になってしまっている。本を作る難しさである。それをフォローするため、巻末で田代眞人、喜田宏、押谷仁の各氏から新たにコメントを取り、掲載してバランスを取っている。
海外の動向は生々しく伝えられており興味深いが、これらが一般的な状況なのか、あるいは先進的な取り組みなのか、そのへんはちょっとわからなかった。

パンデミックのときは病院に患者が殺到するため、ひとりひとりの患者に最善を尽くすのを諦め、より多くの患者を診る態勢に切り替える、という看護師の言葉が興味深い。若い看護師は痛みを訴える個々人の患者に万全の治療を施したいと考えがちだが、パンデミック時にはそういった考えは切り替えないといけないとのこと。

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リスクのモノサシ—安全・安心生活はありうるか (NHKブックス)

2006刊行。この人の著作を読むのは初めてだったが、波長が合ったのか、考え方も整理できて有益な一冊だった。その後の新刊も読んでみたい。
インフルエンザに関する論も多数掲載されている。それも含めて、いくつか感想を。

まずメディアの問題を論じた後、続いて第2章という早い部分で専門家の問題を扱っているのに好感を持った。専門家は客観性を重視してトレーニングされるあまり、自分の判断が客観的であるという過信に陥りやすいのではないか、と著者は投げかける。この素朴なリアリズムがあるために専門家はなかなか自説を曲げない。それがリスク評価の混乱に繋がるという論点。むしろ専門家はしっかりデータを見て、リスク評価をどんどん更新すべきだという意見は重要だと感じた。

第4章でリスク評価のモノサシを提案していて興味深いが、これはインフルエンザにふさわしい方法だろうか。
人は個々のリスク評価をうまく考えられないので、あらかじめがんのリスクはこれくらい、交通事故はこれくらい、火事、自然災害、落雷による死亡はこれくらい、と一覧表にしておいて、そこにいま知りたいリスク評価を組み込むことで、より客観視できるというもの。たとえばインフルエンザ最悪のシナリオで68万人が亡くなるとすると、10万人あたりの年間死亡者概数は500となり、これはがんの250より上。こうしてみると、こんなことはありえないとわかる、と著者はいう。
だがどうなんだろう。「起こるかどうかが問題ではなく、いつ起こるかが問題」とよくいわれるように、1918年レベルのパンデミックがいつかくることは間違いないだろう。しかしそれがいつかはわからない。そしてインフルエンザは毎年変化する。つまりリスクがどんどん変化してゆくのがインフルエンザの特徴だろう。
つまりインフルエンザ全体としてみるなら、大きな危険がある。しかし今年はどうか、来年はどうかと、毎年のインフルエンザ状況に絞って考えるなら、リスクは大きく変わるわけで、こういったモノサシにそのまま一律に当て嵌めることはできないのでは? それがインフルエンザのリスク評価のいちばん難しいところなのでは?

後半の、信頼の話は興味深かった。人は誠実さでその人を信頼するのではなく、その人が自分と同意見であるかどうかで信頼するという仮説。また、リスク情報は安心ではなくむしろ不安をもたらすという指摘。
このへんは近著でさらに深まっているのだろうか。発展の余地を残しつつ将来性を感じさせる研究途上の報告書として、興味深く読めた。

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僕秩プレミアム! (アフタヌーン新書 004)

→朝日新聞2009.6.21「ごく普通の毎日に気づきのタネが

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感染症とたたかう -インフルエンザとSARS- (岩波新書)

2003.12発行。著者の田代眞人氏は国立感染症研究所ウイルス第三部部長、岡田晴恵氏は国立感染症研究所ウイルス第三部研究員(刊行当時)。このふたりは共著も多い。岡田氏は単著で一般向けの感染症予防対策指南書などをたくさん執筆している。
本書の役割分担は明確ではないが、インフルエンザとSARSについて詳述された1、2、4章には「筆者(田代)」という表記がある。3章はインフルエンザワクチンの歴史的経緯を詳述。5章と6章で成人麻疹と風疹を扱う。重要な事項がよく整理されており、過去を踏まえた現状への考え方など筋道もよくわかる。刊行時までの情報に限られてはいるが、インフルエンザに限らず感染症を扱う新書のなかではまず読んでおきたい本のひとつだと思う。

ところでインフルエンザ本についてはいろいろAmazon.co.jpの読者レビュー欄を見ると、やはりタミフルの副作用がマスメディアで大きく取り上げられた時期には副作用問題に敏感なレビューが寄せられている。ワクチンについてもそういった社会的雰囲気という背景があるだろうと、個人的には感じている。研究者の問題意識と、ふつうの人の問題意識にはズレがある、という難しい課題もある。全体として評価するのか、それとも自分がインフルエンザに罹るのか・罹らないのか(自分が副作用の被害を受けるのか・受けないのか)という、科学的視点と個人的体験のせめぎ合いがあるためだろうか。このへんのことについてはもう少し類書を読みながら考え続けていきたい。

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インフルエンザとは何か (文庫クセジュ)

1997.10刊行、原著は1996刊行。著者はパストゥール研究所のインフルエンザウイルス研究者。
文庫クセジュで科学系の話題を読むときの居心地の悪さはちょっと独特だ。いかに自分が英語圏ズレしているか思い知らされる。冒頭の推薦文で、加地正郎先生らが流麗な訳文と誉めているが、英語圏の本の言い回しと微妙に異なる気がして、読んでいてむずむずする。気のせいかも。
インフルエンザは英語ではFluだが、フランス語ではla grippe(あなたを捕まえるもの)になるらしい。
著者は日本語版への序文で、日本のワクチン問題に釘を刺している。本文の内容はいたってふつう。うーん、いまとなっては読まなくていい本かもしれません。
どうでもいいが最終ページにインフルエンザを扱った小説の紹介があって、スティーヴン・キングのLe fleauとか書かれていると違和感ありまくり。1997年にはまだ邦訳が出ていなかったか。『ザ・スタンド』ですね。

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麻疹が流行する国で新型インフルエンザは防げるのか

2009.2刊行。著者は神戸大学大学院医学研究科教授。最上丈二のペンネームで『バイオテロと医師たち』の著作もある。アメリカや中国で医師として勤務経験があり、感染症に詳しい。
この著者に興味を持ったのは、新型インフルエンザの不安感がピークに達しようとしていた頃、「豚インフルについて、研修医の皆さんへ」という文章を公開していたのを読んだため。
・あなたが不安に思っているときは、それ以上に周りはもっと不安かも知れません。自分の不安は5秒間だけ棚上げにして、まずは周りの不安に対応してあげてください。
・今分かっていることでベストを尽くしてください。
・情報は一所懸命収集してください。でも、情報には「中腰」で対峙しましょう。
・自らの不安を否定する必要はありません。臆病なこともOKです。勇気とは恐怖を認識しつつ、その恐怖に震えおののきながら、それでも歯を食いしばってリスクと対峙する態度を言います。
・チームを大切にしてください。
という言葉は、研修医に向けた内容だが、多く一般人の心にも訴えかけるものだと感じた。

本書はインフルエンザに限らず、広く感染症における曖昧で難しい問題を、独り言のような口調ながら、よみやすく親しみやすい構成で語っている。海外では麻疹がほぼ根絶されている国もある、という話からこのタイトルが出てきている。
抗生剤をめぐる問題点が多くのページを割いて書かれている。
感染症という病気にはしばしば差別問題がついて回るという指摘はなるほどと思った。
医療は朝令暮改でいい、という指摘も重要な視点を含んでいると感じた。間違っていたとわかったらこれまでの診療方針を潔く捨てて新しい方針を採り入れようということ。「朝に言ったことでまちがいがあれば夕べには訂正する、それが柔らかい賢者の知恵というわけです」

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インフルエンザ Vol.10 No.2(2009.4) 〈鼎談〉インフルエンザ−最近の話題

メディカルレビュー社刊行。以前はAmazon.co.jpでも売っていたが、なぜか最近は扱っていない。bk1で購入できる。版元の広告ページはここ
雑誌だがISBNコードがついている。今号はISBN978-4-7792-0374-9

インフルエンザ専門の季刊誌。以前から愛読してます。
登場する研究者はおおむねいつも同じメンバーなのだが(特に河岡先生と西村先生がいいキャラで、最近はこのふたりの同人誌になりつつある?)、一般の報道とは違う視点の問題提起が勉強になる。
中外製薬の広告が多いのが特徴(^^)。ですのでタミフル関連の記事はバイアスがかかっていると考える人もいるかと思いますが、読んでみるとなるほどと思わされることも多い。

今号から1976年ブタインフルエンザ騒動を総括する西村先生の新連載が開始。
また押谷仁先生らが「世界各国における新型インフルエンザ対策の現状」という総説を寄稿しており、とても参考になる。
先進各国の対策ウェブサイトも紹介されているので、備忘録としてここに掲載しておこう。(最新情報ではないかもしれないことに注意)

(1)アメリカ
PandemicFlu.gov
対策実施プランの進展状況がモニタリングされている。こちら
ワクチン研究には1億ドルが供与されており、その成果はこちらに公開されている。
ワクチンの優先順位に関するガイダンスがこちらで作成されている。(PDF)
CDCから提供されているFluAid2.0FluSurge2.0

(2)イギリス
国家計画:A national framework for responding to an influenza pandemic(PDF)

(3)カナダ
国家計画:The Canadian Pandemic Influenza Plan for the Health Sector
ワクチン対策の構築はこちら

(4)オーストラリア
国家計画:Australian Health Management Plan for PANDEMIC INFLUENZA
対策方針はたぶんここ。雑誌の紹介URLとは違うので注意。(PDF)

(5)ニュージーランド
国家計画:New Zealand Influenza Pandemic Action Plan 2006

(6)EU
早期警告対応システム(EWRS; Early Warning and Response System)はこちら
健康危機情報システム(HEDIS; Health Emergency and Disease Information System)はこちら。医療情報システム(MedISys; Medical Intelligence Sytem)も。
でもログイン制だ。
新型インフルエンザ対策ワークショップ

(7)日本
国家計画:新型インフルエンザ対策行動計画

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新型インフルエンザ—世界がふるえる日

2006.9刊行。著者は長崎大学熱帯医学研究所教授で、アフリカ諸国やハイチなどの感染症事情に詳しいようだ。そのため他のインフルエンザ専門家とは違った視点で書かれており興味深い。冒頭には映画『WATARIDORI』からの引用がある。
インフルエンザに関する記述は一般的だが、むしろそれ以外の部分に独自性が光る。たとえば『突発出現ウイルス』を参照しながら「ウイルスも絶滅する」という視点を紹介したり、日本でかつて「インフルエンザの原因は細菌かウイルスか」という論争が北里研究所と東大伝染病研究所の間で繰り広げられたことに言及したり。
エピローグのシミュレーション小説もオリジナリティがある。アジアの某国で新型インフルエンザの発生があり、WHOは封じ込めの手を打つが徐々に感染エリアは拡大してゆき、ついに世界に広がる。その後の淡々とした描写がすばらしい。世界中で1億2200万人が死亡し、そのうち1億2000万人は貧しい国に暮らす人々だった。パンデミック収束後に国連が報告書をまとめる。そこには多くの反省が綴られている。しかし一連の封じ込め対策は次のように評価されていた。
「初期の封じ込めによって、インフルエンザの世界的流行が二カ月遅延し、結果として2000万人以上の生命が救われた」

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インフルエンザ—新型ウイルスの脅威

1999.12刊行。著者は現在、神奈川県警友会けいゆう病院小児科部長で、今月号の「文藝春秋」にも登場している。ワクチン、タミフルに詳しい。三田村敬子氏は弟子。
10年前の本なので、まだタミフルは発売前。アマンタジンについて多くのページが割かれている。タミフルは副作用がないとはっきり書いており、いまとなってはびっくりする読者も多いだろうが、当時は本当に専門家もそう思って疑わなかった。
このように、専門家でさえ見込み違いや思い込み、リスク評価の誤りがある。そのことがインフルエンザ問題の本質のひとつだろう。本書ではワクチン関係の記述が読み応えがある。日本では90年代後半にほとんど学校での集団ワクチン接種がおこなわれなくなってしまった。ワクチン効果が疑問視されたため。しかし著者は海外の学会等でそのことを向こうの研究者に話すたびに驚かれ、ワクチンに効果がないという科学的根拠は何かと問い質されたという。そのため改めてワクチンの効果を日本で解析したところ、効果ありとの結果が出た。当時は研究者たちも、風聞に惑わされ、きちんと検証もせず雰囲気に流されていたのだと改めて知ることになる。
インフルエンザとはもともとインフルエンス(影響)という言葉が語源である。インフルエンザを語ることは、人間の思い込みや影響、バイアスの歴史を語ることでもある。
追記:
なお、「心理学的には「第三者効果」として知られていますが、「私はマス・メディアの影響を受けないが、他の人(第三者)は影響を受けている」と考えることは、その人が自尊心を高めるために行っている行動と解釈されています。」(吉川肇子 慶応大学商学部准教授)との指摘にも充分に注意しておきたい。こちらを参照。

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単純な脳、複雑な「私」

→朝日新聞2009.6.7「高校生にわくわくする仮説を提示

池谷さんの本は、よい編集スタッフがついているのだろうと思わせるものが多く、実はとてもうらやましい。
よい科学書をつくるには、よい編集スタッフに恵まれることが大切だとつくづく思う。
こっちはテープ起こしから写真の手配まで自分でやっていて、もうそろそろ体力が続かなくなってきた。

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インフルエンザ感染爆発—見えざる敵=ウイルスに挑む (ノンフィクション知られざる世界)

原題はPurple Death、2000刊行。邦訳は2005.12刊行。
著者はサイエンスライターで、同じ叢書から『アイスマン』の翻訳が出ている。訳者の西村秀一先生は仙台医療センターウイルスセンター長。あの『史上最悪のインフルエンザ』の次に彼が手掛けた翻訳がこれ。その後、西村さんは東洋文庫から『流行性感冒』の復刻を後押しした。
1918年のスペイン・インフルエンザと、そのウイルスを永久凍土から見つけ出そうとする人たちの話を、非常にわかりやすく、コンパクトにまとめた良書。刊行が2000年なので、まだ遺伝子情報は一部しか解析されていない状態で本は終わるが、その後2005年に全遺伝子情報が解読完了したことはご存じの通り。その話はいくつかの一般向け科学書でも紹介されている。
これは子ども向けの本なので、イラストや写真が多いが、内容は大人が読んでも勉強になる。特に、どうやってワクチンをつくるのか、ウイルスのドリフトとシフトの違いなどは、知らない人も多いのでは。日本版では図表を新たに加えて、そういった基本をしっかり説明しているのが嬉しい。巻末には訳者による解説もあり、わかりやすい。

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ダーウィン先生地球航海記

すみません、白状します。実は「ビーグル号航海記」、積ん読でした。
で、今年はダーウィン生誕200周年、『種の起源』刊行150周年。日経サイエンスで渡辺政隆さんが荒俣宏訳を薦めていたので、ええ、けっこうな値段で古書を求めました。
しかし読んでびっくり、めっちゃくちゃおもしろい! どうしてこれが品切れなの? 世の中間違っとる! ダーウィン先生の日誌に荒俣先生が随時コメントを挟むという構成で、これが見事な掛け合いになっている。内田春菊のイラストに加え、荒俣先生があちこちから持ってきた博物学の挿画が彩りを添える。
これって超訳なのか、忠実な翻訳なのか、それがまるでわからない。無知ですみません。うーむ、すぐに岩波文庫版を読んでみなくては。どこへしまったっけかなあ。とにかく超おすすめです。

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新型インフルエンザから家族を守る18の方法 (青春新書INTELLIGENCE 215)

2008.12刊行。著者は京都産業大学鳥インフルエンザ研究センター長。北大獣医学出身で、喜田宏先生、河岡義裕先生、伊藤壽啓先生らと同窓ですね。
奥付には編著者・大槻公一とあるので、もしかしたら語り下ろしや講演などを新書向けに編集者がまとめた本なのかもしれない。
前半はインフルエンザパンデミックに関する一般的な話。やはり後半の鳥インフルエンザ関連の方が、話としても具体性に富み、切実で、言葉に重みがある。タイトルの「18の方法」は、最後に箇条書きで提示される。途中、馬インフルエンザの話が出てくるのがちょっと特徴的か。私の父の名が一瞬出ていました。
ラストに、パンデミック後のシミュレーション(?)が登場するのは興味深い。メディアに総理と専門家が登場し、今後2週間籠城せよと告げると、人々はおおむねそれに従う。どうしても外出が必要な人は抗ウイルスマスクをつける。これによって時間を稼ぎ、日本はワクチン製造するという筋立て。

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厚生労働省崩壊-「天然痘テロ」に日本が襲われる日

2009.3刊行。著者は医師・厚生労働省医系技官。
何かと話題の本。
本筋と関係ないような、しかしありそうな感想をひとつだけ。
「もし、天然痘テロが日本で起こったら?」というシミュレーション小説が途中に出てくるのだけれど、こういう構成の本って多いんだなあと改めて思った。しかしパンデミックが起こるまで(つまり役人その他の不手際などにより事態が悪化して収拾がつかなくなるまで)は書かれるのに、事態が収束するところのシミュレーション小説が挿入された本は少ない。どんな状況だろうといずれ事態は収束すると思われるが、そこをシミュレートする方がいっそう役立つのではなかろうか。怖れていたパンデミックになってしまって主人公は呆然、で終わってもらっては、読んでいるこちらも困る。
個人のエピソードが一般に共有されることで不安や恐怖心が広まるのだとしたら、この手の本ではむしろ収束に至るまでの個人エピソードをヴィヴィッドに描く方が、シミュレーション小説としての意義も高まり、重要と思われる。(ただし書き手も、より想像力が必要だろう)

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インフルエンザはなぜ流行するのか (One point science)

邦訳1983.12刊行。現題や原著刊行年は未記載。著者はマーティン・M・カプランとロバート・G・ウェブスター。ウェブスターはトリインフルエンザの先駆的研究者で、喜田宏さんや河岡義裕さんの師匠筋。そして訳者はなんとセンダイウイルスの石田名香雄!
ワンポイントサイエンスという小冊子シリーズの一冊らしいが、古書として愛でたくなる本(当時の定価は380円!)。中のイラストは二色刷で、インフルエンザウイルスの模式図なんて芸術的な美しさです。内容もすばらしい。充分に現代でも通用します。ブタ、ウマ、トリのウイルス研究の発展がよく分かる。
「これからも、インフルエンザが大流行することは、きっとあるだろう。しかし、インフルエンザの病状や生態学についてかなりよくわかってきたので、これからはもう、以前のような猛威をふるうことは、まずないと思われる」という結びの段落が実に味わい深い。

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新型インフルエンザ対策におけるリスクの管理とコミュニケーション

2007.11刊行。監修者の岡部信彦は国立感染症研究所感染症情報センター長、岩崎恵美子は仙台市副市長(前厚生労働省仙台検疫所所長)。
以下、メモ。
第1章の「リスクマネジメントとリスクコミュニケーション」の部分をもっと詳しく知りたかった。
「パニック防止で最も重要なことは、情報を発信する県や市当局が常日頃、市民から絶対的な信頼を獲得しておくことである」とあったが、具体的にはどうすればいいのだろう。
第4章はフェーズ4におけるインフルエンザ対策の机上演習キット。
今回の新型インフルエンザ騒ぎは、本書記載のリスクコミュニケーションに照らしてどのくらいうまくいき、どのへんが想定外だったんだろうか。

ちなみに執筆者は違うがこういうのも出ていて、わかりやすい。
【研究リポート】少しでも混乱を避けるために=自治体向けに健康危機管理のコミュニケーションマニュアル作成 吉川肇子 慶応大学商学部准教授
【資料】健康危機管理におけるクライシスコミュニケーションマニュアル(pdf 2.9M)
【資料】健康危機管理におけるクライシスコミュニケーションのクイックガイド(pdf 2.1M)

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インフルエンザ危機(クライシス)

2005.10刊行。東大医科研感染症国際研究センター長の河岡さんに、ライターの浅野恵子氏が聞き書きしてまとめたもの。しかし文章はきびきびとして読みやすく、河岡さん自身が書いたと思っても特に違和感はない出来。
「研究職の面白さ、醍醐味をこれから職業を選ぼうとしている若い人たちに分かってほしかった」「本書を読んで1人でもウイルス学を目指してくれる人が出てきてくれると大変うれしい」とあとがきにあるように、大半は河岡さんの研究人生の回想録と、そこから導き出される提言。トリインフルエンザの最前線で研究を続けてきた情熱と切れ味の鋭さがよくわかる。研究内容も細かいことまでは書かず、しかし短い言葉でディテールを押さえており、臨場感もある。ワクチンとタミフルのあたりは、河岡さんの科学者としての信念ですかね。
「新型インフルエンザから家族を守るには」というタイプの本ではないが、科学書としておもしろい。

→朝日中学生ウイークリー2009.6.21号「誇りと理性を手にウイルス研究に奔走」p.7 連載第39回

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パンデミック—感染爆発から生き残るために

たくさん出ているインフルエンザ関連の書籍をまとめて読んでみることにした。今後、再読を含めて読了メモを載せていくかも。
まずはこれをさくっと読了。著者はノンフィクション作家(私と同い年)。本書の取材先は主に岩﨑惠美子氏と濱田篤郎氏。2009.2発行。
日本相撲協会は会員とその家族にインフルエンザワクチンを接種させている、そのためかこれまでインフルエンザで休場した力士はいない、という豆知識にへぇボタン。

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