感染症とたたかう -インフルエンザとSARS- (岩波新書)
2003.12発行。著者の田代眞人氏は国立感染症研究所ウイルス第三部部長、岡田晴恵氏は国立感染症研究所ウイルス第三部研究員(刊行当時)。このふたりは共著も多い。岡田氏は単著で一般向けの感染症予防対策指南書などをたくさん執筆している。
本書の役割分担は明確ではないが、インフルエンザとSARSについて詳述された1、2、4章には「筆者(田代)」という表記がある。3章はインフルエンザワクチンの歴史的経緯を詳述。5章と6章で成人麻疹と風疹を扱う。重要な事項がよく整理されており、過去を踏まえた現状への考え方など筋道もよくわかる。刊行時までの情報に限られてはいるが、インフルエンザに限らず感染症を扱う新書のなかではまず読んでおきたい本のひとつだと思う。
ところでインフルエンザ本についてはいろいろAmazon.co.jpの読者レビュー欄を見ると、やはりタミフルの副作用がマスメディアで大きく取り上げられた時期には副作用問題に敏感なレビューが寄せられている。ワクチンについてもそういった社会的雰囲気という背景があるだろうと、個人的には感じている。研究者の問題意識と、ふつうの人の問題意識にはズレがある、という難しい課題もある。全体として評価するのか、それとも自分がインフルエンザに罹るのか・罹らないのか(自分が副作用の被害を受けるのか・受けないのか)という、科学的視点と個人的体験のせめぎ合いがあるためだろうか。このへんのことについてはもう少し類書を読みながら考え続けていきたい。
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