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未来の記憶のつくり方—脳をパワーアップする発想法 (DOJIN選書 19)/脳でシナジーする科学と社会—回転寿司、パチンコ、そしてキャラクター論まで (東京理科大学・坊っちゃん選書)

 パチンコの「海物語」がなぜヒットしたかを脳科学的に解明したことで有名な篠原菊紀さんの本。最近、多チャンネル近赤外線分光法装置が手軽に使えるようになったことで、体を拘束せずに脳の活動を計測できるようになってきた。篠原教授もこの装置を存分に使って、いろいろおもしろい(本人曰く、しょうもない)実験をやっている。
 二冊とも似たような内容だけれど、本としてだんぜんまとまりがあるのは化学同人のほう。「未来の記憶」というのは「解決志向ブリーフセラピー」で問いかけられる未来の自分の記憶で、ここに自分の視点を同調させてゆくことで短期間で心の悩みを解決してゆこうとするセラピーのやり方。実はこのやり方が前頭葉の脳トレと密接な関係がある、という感じで話が進んでいきます。前頭葉の活性化と鎮静化のバランスが大切、という考え方には共感を覚える。いい小説というのも実際はそういう作用があるよね。篠原さんの語り口も、庶民的で親しみやすい。なるほど、こんなふうに話を組み立てて話すと講演会は成功するよなあ、と勉強にもなりました。
 ここで書かれていることは、ロボット・コミュニケーションの研究にも極めて重要なことだと思う。ロボットの前頭葉を鍛えるような研究が、これからは大切じゃないかなと感じた次第。

 ところで、この2冊の本には、発想のクセ(パッションの方向)ということで、クロニンガーの分類に基づいて「新奇探索傾向」「損害回避傾向」「報酬依存傾向」の話が出てくる。それぞれの脳のクセを利用して、ひらめきを促進しようということで、各傾向へのアドバイスも書かれている。「新奇探索傾向」の人は異なる考え方に囲まれやすいから「同じだ」「似ている」というキーワードを使うよう努力しよう、「損害回避傾向」の人は他者と異なる発想をすることが苦手だが集団内のルールをつくることは得意、だから「これはあれと違う」をキーワードにして修正的なひらめきを得よう、「報酬依存傾向」の人は甘えん坊タイプだから意識して「世のため人のため」と口にしてみよう、というアドバイスは、なるほどとても効果的だと思った。私はおそらく典型的な「新奇探索傾向」なので、〈境界知〉などということをいい出したわけだね。物語と科学は似ている、などという(一部の人にとってはわけのわからない)主張をするのも自分を拡げたいからだろう。これらそれぞれの傾向に有効な〈境界知〉のあり方とはどのようなものだろうか。そうやって考えてゆくと、〈境界知〉に関する発言もこれからはもっと説得力を持てるような気がした。

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