空の英雄メルモーズ
サン=テグジュペリの知人だった飛行士ジャン・メルモーズの伝記。著者ジョゼフ・ケッセルは映画『昼顔』の原作者で、生前は大ベストセラー作家だったようだ。(いまはほとんど忘れ去られている?)
「空に生き 空に殉じた 〈フランスのリンドバーグ〉の生涯 『夜間飛行』『人間の大地』などサン=テグジュペリの数多くの名作のモデルとなった「フランスで最も有名な男」の飛行機に賭けたロマンあふれる生涯を、僚友の大作家が愛惜をこめて描く」
と帯にある。さすが小説家の作品だけあって内容はドラマチック、けっこう感動的です。
しかしこのメルモーズ、空の英雄となった後年には極右団体「火の十字架団」のメンバーとして活動、当時はお札になってほしい人ナンバーワンとまで崇められていたのに、死後は人気が急落し、サン=テグジュペリがお札になった。そういったことは本書にはまったく触れられていない。山﨑庸一郎は『『星の王子さま』のひと』(新潮文庫)の中で、本書のメルモーズはまるで半神のように描かれていると率直に評している。
ただ、ケッセル自身も飛行士なので、メルモーズの飛んだルートを後年になって自分で飛んだり、船で航跡を辿ったりして、なるべくメルモーズが感じたであろう自然の情景を書き込んでいるところは好感が持てるし、描写もいい。ケッセルにはいくつか飛行機小説があるみたいなので、それらはぜひ読んでみたいと思った。
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