破顔
なるほどチャーミングなエッセイ集である。日経新聞のエッセイ欄「プロムナード」に連載された25篇を収録した本だが、そこかしこの間合いが心地よい。装幀や随所に折り挟まれたかつての西部劇俳優たちの「破顔」の写真、あとがきの佇まい、そしてなにより長塚京三のエッセイ自体の間合いである。一行目から彼の「声」が始まり、半ばで唐突に脈絡の切れた話に飛ぶかと思うと、それさえも著者の呼吸のひとつで、最後には想念がつながっていたことがわかる。笑ったときのバート・ランカスターの顔や、美男だからこそヒッチコックに重用されたケイリー・グラントなどを語るときの上機嫌ぶりは上品で清々しい。口は一つ、というエッセイが殊に心に残った。








































